僕の好きな建築のひとつ、
エドゥアルド・トロハの「フロントン・デ・レコレトス」をご紹介。
トロハはマドリッドの構造デザイナーで、
コンクリートシェルをつかった直感的な形態をつくることで知られている。
日本ではあまり名前を聞かないが、キャンデラやネルヴィなどと
ともに評される素晴らしい構造家である。
大小ふたつのヴォールトの組み合わせた大空間。
それぞれ弦の端部がスカイライトとなっている。
大きなヴォールト屋根の下は競技場エリア。
小さなヴォールト屋根の下は観客席エリア。
形態と絡み合った合理的かつ知的なゾーニングである。
スカイライトは2つのヴォールトに統一されたルールとして、
単に美学的であるばかりでなく、
単に美学的であるばかりでなく、
客席からスカイライトが逆光にならない構成となる。
ヴォールトがブツかり合っているところは、
反力で互いに支え合っているのでしょうか?
そうであるなら競技場という無柱空間を成立させた
構造的な合理性の意味も極めて大きい。
ひとつのアイデアが多種多様の意味をもつ。
単純なかたちの組み合わせが複雑な効果を生み出す。
これはそんな類まれなる建築として
いまなおその美しさを失わない。